2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

スピーク・ライク・ア・チャイルド

現在の書き手にとってイヤらしく思われるのは未来を観測する自意識であり、未来の受け手にとって感興を削ぐのは、自らが起草した以上、情報はほぼ明らかで、しかも受け取り期限が自明なので受け取る行為自体に意外性が少ないことである。歓楽は歳月を経て劣…

国木田独歩 『富岡先生』 [1902]

映写幕に大杉漣を認めるとたいへんな不穏を覚える。何をしでかすか解らない、という不安なのであるが、他方で、その心配は何らかの予期に担保されているようにも思う。少なくとも、何をするか解らぬという感想を生じせしめるのに十分な予期へ。 『ハゲタカ』…

『ハゲタカ』 第三回&第四回

殺された身内を感化のリソースとして活用することはありだろう。ただ、それを殺した当事者へ志向させるとなると、影響力は半減する恐れがある。殺した方は殺した方で、自分は人を殺してしまった、という負い目があり、それがまた影響力のリソースとして働い…

佐藤允の安心感

佐藤允を映写幕に認めると、これはもう何とかなるのではないか、と大船に乗れる。戦記物によくあるような、たちまちの内に員数外を調達してくるスーパー古参兵の安心感である。 ところが、実際に何とかなってるかというと、あんまりどうかなっていない。『青…