2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

エヴァ破を見た

これでハリウッドと戦えるか、という話になると、台詞が説明と説教ばかりで野暮ったいのである。みんな思ったことをいちいち口に出さないではいられない。受け手のリテラシーを信用しないのである。ゲンドウと冬月なんぞ、ユイ3P計画を練ってるような有様で…

当事者不在の文明批評 『巨人と玩具』 [1958]

高松英郎の万能感が序盤でわれわれを魅了すればするほど、彼の野望がよくわからなくなる。役員の座を狙うにしても、シャブを打ってまで狂騒しては、造形の一貫性に齟齬が出る。他社との競合をモンタージュで扱うと割り切ったためか、苦しさのシグナルを一方…

野尻抱介 『太陽の簒奪者』[2000]

情報の大放流は読者へひとつの勝負を挑みます。情報ダムの貯水を巻末までストックできるか、われわれの興味を引きつけるのです。しかし先回ふれた『火車』は3分の1あたりで枯渇し、本作も100頁を超えて危急の課題がクリアされた時点で、節水が始まったと判断…

宮部みゆき 『火車』 [1992]

急速な情報流出は構成上の負債を抱えます。情報ダムの枯渇によって、早くも序盤越えで失速する事態を考えねばなりません(たとえばポール・ハギス脚本の『告発のとき』)。本作では文庫版の140頁あたりから始まるサラ金の規範的描画が枯渇の指標となるでしょ…

あの街へ帰りたい

鍵('59)→最高殊勲夫人('59)→さようなら、今日は('59)→おとうと('60)→ぼんち('60)→女経('60)→黒い十人の女('61)――この星のどこかにはイーストマンカラーと広角パースの街がある。そこでは船越英二、川口浩、市川雷蔵、勝新、中村鴈治郎、田宮二郎、加東大介ら…