2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

若尾文子と童貞たち 『しとやかな獣』 [1962]

斜に構えた作劇の割に、キャラクターは人におもねろうとする。これが苦手だ。高松英郎が内情を吐露するのは構わない。彼はテンパっているからだ。しかし、若尾や伊藤雄之助が苦労話で同情を誘うのは、覚悟が足りない。彼らの斜に構えた言動がスポイルされ、…

若尾文子と童貞たち 『卍』 [1964]

これは面白い。明らかに人を笑わせようとしていて、成功している。特に岸田今日子がすばらしい...「あんた綺麗な体ををををを」「あんまりやわ、あんまやりやわ」「にくたらし、うちあんた殺してやりたい」云々。 +++ 語り手の保造にとって、若尾の内面は…

夏エヴァと私 ―― 12年前 夏 新宿東映パラスで

若尾文子と童貞たち 『好色一代男』 [1961]

童貞である語り手の矮小な空想力には、本作が扱うような、リア充の生活描写が手に余る。しかし、自らの童貞性が暴露されるのも恥辱だから、威勢よくやってしまって、雷蔵のナンパがセクハラ・痴漢・ストーキングと区別しがたくなる。女体を愛でるにせよ想像…

若尾文子と童貞たち 『妻は告白する』 [1961]

小沢栄太郎がおもしろすぎて、これでは逆に困るのである。栄養不良で人事不省の若尾を「衰弱してるね、貧血だね」と介護するまでは良いのだが、それがその場で「結婚しよう」と飛躍してしまう。そして一緒になって若尾を扱いかねると、キャバ嬢のヒザ上で暴…