2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

魔性からのサルベージ 『男はつらいよ 柴又慕情』

もしこれが、女の好意を誤解した童貞の物語であるならば、よくある残虐な話で終わってしまう。そうなると、寅の立場に身を置けば、吉永小百合は理解の不能な憎悪の対象となりかねない。われわれは、小百合のモンスター性の中に眠る、彼女の理解可能な造形を…

髭メガネ爆誕・第3新東京市

『女は二度生まれる』('61)は富士見町の花街が舞台で、隣接する靖国の境内が時折ロケーションに用いられます。境内の様子は半世紀後の今日とあまり隔たりがありません。若尾文子と藤巻潤のダイアローグが境内の中で長々と進行すると、時代の見当識が危うくな…