2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

構成された修羅場を超えて 『セッション』

教官という現象の効果は、教官から与えられた修羅場の被験者がそれを自覚して時点で、霧散することだろう。あくまで修羅場は、本当に修羅場だと認知してもらわねば、教育効果に欠ける。それが、教官によって意図的に構成された現象だと悟られたら、修羅場が…

愚者と聖者が終末で 『キャビン』『ハゲタカ』『回路』

映画ハゲタカは、玉山鉄二の人生を俯瞰する物語である。TOBや金融危機のエピソードは、結果的に、われわれの目を欺く誤誘導として働いている。人生を俯瞰したという感覚は、玉山が遭難した時点では、まだ構成されない。 映画の冒頭は、中国の田舎道(ロケ地…

母性の戦争 『ソロモンの偽証』

閉廷後、大出俊次が校舎を後にすると、母親がそこに待っていて、彼を抱擁する。わたしには、母親のこの感覚が解りづらい。 法廷では、大出が級友に行った横虐の数々がつまびらかになっている。その息子に対して、横虐の被害者の衆目があるやもしれぬ環境で、…