2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

恋と冒険と人間賛歌 『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』

ディレクターの工藤にはオカルトの神秘性についてまるで頓着がない。その態度は鈍麻なるがゆえに、かえって苛烈なほど現世的に見える。すでにFILE-01の『口裂け女捕獲作戦』から、タイトルの時点で何かがおかしい。捕獲という発想がきわめて現世的なのだ。 …

到達された邪念・新幹線大爆破のキリスト 『予告犯』

犯行の動機に委細な社会性を与えてしまうと、創作の観点からすれば不都合な事態が時として訪れる。社会的背景はマクロ経済政策の如何を否応なく意識させるため、犯人の不遇は、経済政策によって緩和され得るようなテクニカルな問題に還元されてしまう。工学…

山崎努のロボットダンス 『日本のいちばん長い日』

敗戦の受容に至る道のりを俯瞰すれば、何かが尽力されたという感覚は東條内閣の倒閣プロセスの方にあって、宣言受諾と宮城事件はあくまでその結果であり、そこにアクターの選択の余地を見出すのはむつかしいと思う。喜八版にせよ原田版にせよ、密室劇の緊張…