2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『神様の思し召し』

明瞭な選択肢が劇中に現れた時点で負けになってしまう可能性がある。結末が予想を超えない恐れが出てきてしまう。たとえば『地球を守れ』('03)だ。その主人公は宇宙人が襲来すると警鐘を鳴らし続け周囲から狂人扱いされる。結末はふたつしかないだろう。男は…

業田良家 「ペットロボ」『機械仕掛けの愛』

観測者が匿名でなければ尽力は実効的にならない*1。見られた瞬間に、尽力の実施者にも観測者にも下心が生じかねない。観測者は他人の善行を観測しておきながら、自らの観測に気がついてはならないのである。観測しているのはあくまで無意識であり、観測者に…

三島由紀夫 『宴のあと』

恋愛であれ何であれ、自意識の混迷は行動を躊躇させる。自意識の暴走は抑止されねばならぬが、自意識を欠いてなお人は人であり続けられるのか。出てくるのは無意識の制御という逆説の課題であり*1、形式への依存が回答のひとつとなるだろう。形式が人を運ぶ…