2020-04-23から1日間の記事一覧

小説『春の愉楽を抱きしめる(後篇)』

1 ブルージュのその地下部屋は一泊が100フランにも満たなかった。 階段を下りて扉を開くと、幅2メートルの部屋に机と衣装箪笥とベッドが詰め込まれている。入口から見て右手には洗面台。そこから壁に沿ってアームチェアと机と箪笥が並んでいる。シミの付いた…