2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『散歩する侵略者』(2017)

スコセッシの『沈黙』(2016)は一種のグローバリゼーション映画であろう。その辺の村の爺様が俺よりもよほど流ちょうに英語をしゃべってムカつかせてくれる。村娘の小松菜奈もとうぜんしゃべる。彼女だけは発声が稚拙になってしまうのだが、これがかえって思…

ロードするのかしないのか

『砂と霧の家』(2003)のジェニファー・コネリーは警官と不倫する。アルコール依存症の彼女は警官の銃で自殺を試みるが、トリガーは引けど弾は出ない。警官のベレッタはマニュアルセイフティでロックされている。 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)で…

聖人の外部性 『おしん完結編』

学生の時分に総集編で見た『おしん』の完結編は波乱のない消化試合だった。今回、本編で完結編を見たところ全く印象がかわった。田中好子の紛れなきアイドルドラマであった。完結編の好子は中学のときに思慕をしたクラスメイトBさんに似ている。彼女が画面に…

『スーパーの女』(1996)

伊丹十三の後期三部作『ミンボー』『スーパー』『マルタイ』が試みたのは近代の捕捉であった。これらの物語は近代の宿った心の状態を勇気と定義する。ヤクザとカルトという非近代の襲来を受けた経理マンと女優は、自分の奥底に眠る勇気を発見したのだった。 …