2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧
これもまたつらい話なのである。 大部屋俳優、内野聖陽は殺陣の専門家である。台詞がダメで切られ役ばかりである。彼は大部屋仲間の中村獅童に自らの切られ役人生を自嘲してみせる。 この場面、獅童のイライラした反応が露骨なのだが、それでも作者の意図に…
終わった恋に呪縛される男はいる。聖化した女にいつまでも引きずられる現象は、本作も含めしばしばフィクションの題材になる。が、これの実作を試みると固有の難しさに気づかされる。メソメソする男の叙述はよいとして、問題は女の方である。聖化するほど男…
モスクワ4pzで迂回や包囲を試みていると、しみじみと戦争をしているような気分になる。わたしは必ずしも熱心な大戦略ファンではないのだが、現代戦の大戦略やファミコンウォーズでは、迂回・包囲がこれほど明瞭には表現されないのではないか。この辺は史実に…
この話の麻生久美子は決して不快な人物ではないが、時折、その言動に違和感を覚えるのである。 制作会社を訪れた麻生が売れっ子ライターと遭遇する場面がある。 十年前、東中野のシナリオスクールで麻生はそのライターと一緒だったことがある。彼女は「〇〇…
読者がスペンサーシリーズに期待するのは啓発ではなくマチズモの肯定だろう。本作ではフェミニズムの運動家であるレズビアンがスペンサーのマチズモに屈服するのであるが、単なる屈服ではただのポルノになってしまう。いずれにせよポルノには違いがないので…