2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『灼熱の魂』(2010) Incendies

オイディプスを踏襲するにせよ何らかの変異を施さねば踏襲の意味がない。CASSHERNはハムレットというよりもオイディプスだと思うのだが、当事者の自覚の揺らぎにオリジナリティがある。行為に際しオイディプスもイオカステも互いに面識がない。CASSHERNはそ…

伊藤桂一「大隊長、独断停戦す」『かかる軍人ありき』

近代の心性とは商人のエートスである。 『タンポポ』(1985)に安岡力也がラーメン屋の改装を請け負う場面が出てくる。このとき、店主に好意のある安岡に対し山崎努が注意をする。曰く、金は当人に払わせろと。もし好意から無料でやってしまうと彼らの関係は徒…

『シャッター アイランド』(2010) Shutter Island

何の予備知識もなく見始めたのである。配役もとうぜん知らない。見てみるとレオは亡妻に呪縛されている設定で夜うなされる。そして夢の中に現われるのがミシェル・ウィリアムズの文系殺しのタヌキ顔であり、その何も考えていない配役に爆笑したのだった。な…

「スタイルズ荘の怪事件」『名探偵ポワロ』

ヘイスティングズはダメな大人である。ベルギーでポワロと知り合って感化された彼は復員したら探偵になりたいと目をキラキラさせる。しかし才能がない。ポワロに弟子入りしたものの、貴方の推理にはいつも驚かされると嫌味を言われる始末である。ヘイスティ…