2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976)

神保町の件までは古典落語の踏襲である。寅が無銭飲食の老人、宇野重吉を憐れんでとらやに泊める。礼をしたい宇野は満男の画用紙に毛筆で何かをしたため、神保町の大雅堂に持って行くよう寅に頼む。宇野が日本画の大家と知らない寅は嫌がる。宇野の描いた宝…

『さよならみどりちゃん』(2005)

この星野真里も困ったキャラクターである。ダメな人なのだが顔がいいから男が寄ってくる。この人を観察する意味はあるのか困惑してしまう。星野がダメな人と作者は気づいているのか例によって訝りたくなる。むろん意図はある。本作は性格の一貫性を損なわな…

語彙力増強計画、その後

極限の英単語からおおよそ5000後を抽出してAnkiにぶち込み、それを消化し終えたの丁度一年前である。一日100語ずつ覚え50日で5000語の消化に成功したわたしは、これなら一年に2ヶ月ほど語彙力増強月間を設けても悪くないとほくそ笑んだのだった。ただ、これ…

やくざと四股名とナルシシズム

やくざの組事務所には独特の時の淀みがある。閑散とした事務所では当番の組員が二三名、ぼーっとしている。基本無職の彼らは暇人でやることがない。 『ヤクザと憲法』(2016)の二代目清勇会の組事務所を眺めていると、初期北野、特に『ソナチネ』(1993)の偉さ…