2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧
拡大家族は孤児を厚く遇するものである。両親に準ずる紐帯がオジオバに生じるので孤児は大家族の中に包摂される。孤児がシンデレラになるには核家族が前提となる。が、核家族の社会が必ずしもシンデレラを量産するわけでもない。 50年代の南イタリアはシンデ…
これでは元ネタであろうCUREを高からしめただけではないか。広角ロングで事態を観測する第三者のまなざしが話の視点をうつろわせる。主にコリン・ファレルの視点で叙述されていた事態が中盤になるとおかん(ニコール・キッドマン)によって目撃されるように…
現代と過去が並走する構成は何だろうか。記憶喪失物の体裁である。目覚めた主人公男には状況がわからない。ところが過去の事情が方々に挿入され、彼が記憶を取り戻すまでもなく受け手には事情が察知される。記憶喪失物がこれでは成り立たない。 心理学の実験…
『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013年)がそうだった。不安になるほど人物の類型化が過ぎる。古田新太も寺島しのぶもマンガのような人々である。彼らについては、さすがに類型性を留保する描写はある。“啓蒙”聖人の寺島は鈍臭いボランティア仲間には癇癪…