2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『パーフェクト・ケア』I Care a Lot (2021)

女性主義を邁進するほど逆に女性嫌悪を煽られる構造は意図なのか誤算なのか。受け手であるわたしに原因がないとはいえない。しかし客観的な要件もある。敵対者がホワイトトラッシュと小人症の、いずれも社会的あるいは身体的にオス性を喪失した男たちである…

グレッグ・イーガン『失われた大陸』

SFである必要がないと思うのだ。並行世界の中東から内戦を逃れた難民がやってくる。彼らは難民申請を出すも、収容所に何か月も留め置かれる。なぜ難民を並行世界から引っ張り出す必要があるのか。出自を並行世界に置いたら社会小説がスポイルされはしないか。…

『燃ゆる女の肖像』 Portrait de la jeune fille en feu (2019)

画家にもモデルにも顔に違和感を覚える。その正体がわからない。 画家が肖像の依頼を受ける。過去にその女の肖像を試みた男がいたが途中で頓挫している。顔のない肖像画が残された。どんな顔貌なのか、いよいよ興味が惹かれるが、画家が女と対面しても背中を…

25年目のみさき先輩

男には自惚れがある。この女には視覚がない。ゆえに女がわたしの善性を見出す際、わたしの容姿は女の試みを阻害しないだろう。モテのかかる合理化には男の自惚れが前提となる。善性が自分に備わると男は確信している。が、自惚れはその起源を再帰構造の中に…