ツンデレには造形の成熟に応じた励起の仕方がある

 デレる予感で負債の担保を設定する少女の排他的態度は愛の先物取引だ。対して、常に思い返され、過去へと遡及して掘り出される好意もある。伊織の愛は今ここに発覚せねばならぬが、造形の成熟がツンツンという態度を許容しなくなると、愛の知覚が造形の信憑性を損ねてしまう。このとき愛の振る舞いは、ツンツンしながらも隠れていられる表意材の襞に身を寄せて、静かに時間を生き延びることだろう。未来にあって回収される時を待ちながら。