とらドラ! #06

亜美がストーカーをボコってるのは図像的に明かである。なのに、竜児のモノローグでわざわざ説明を上書きするのはなぜか。リテラシーの強迫観念とはいえるが、あえて記述の野暮な上書きをせねば観察者の一貫性を温存できない、という苦しさもある。



このお話には視点の一貫性、つまりは娘を観察したい欲望について一定の配慮がある。たとえば大河の告白というプライベートセクターのイベントを、竜児は偶然目撃せねばならない。イベントをなるべく彼の視界の中で完結させたいのだ。だから亜美のアクションがフレームより外れそうになると、モノローグが場を固定しようとするのだろう。代わりに、それまでメインの観察対象であった大河の両面化が進み、彼女の視点が時折援用されるようにもなるので、ちっこい娘が弁当をかっくらう様をウットリと眺めたい気分は害されるのだが。