或るブロンソン大陸 『善き人のためのソナタ』

善き人のためのソナタ』の世界観は、ブロンソン大陸を意図的な鍛錬によっては到達できない場所としている。道場に通うといった互酬性の期待はスケベゴコロとして退けられる。オッサンはこのみじめな集配作業がブロンソン大陸への航海だとは思いもしない。だからこそ彼はそこに至ったとされる。



計画や期待によって到達はできないから、ブロンソン大陸は思わぬ発見という形で姿を現す。個々人の心の中にあるブロンソン大陸の形態は人によっては様々で、オッサンの前には書店として立ち現れた。本の献辞を目にしたとき、自分がブロンソン大陸へ至ったことを彼は知ったのである。