性愛を割り切る『ブロークバック・マウンテン』と『イヴの時間』

『ミルク』のガス・ヴァン・サントにとってホモセクシャリティは然るべき現象である。しかし『ブロークバック・マウンテン』のアン・リーには然るべくあっては困る。それが然るべくあっては、興味本位というエンタメに至らないからだ。『ラスト、コーション』にも言えることだが、アン・リーには職人的冷酷さが時として付きまとう。



イヴの時間』も性愛について似たような割り切り方をしてると思った。最初は性愛へのこだわりがあまりにも大時代的で違和感を覚えてしまう。しかしおかげで、主人公男が機械性愛をカミングアウトしたとき、うれしはずかし感が醸し出される。それが倒錯だという前提に、われわれは組み込まれていたのである