『幽霊刑事』(2001) 7號差館 / Nightmares in Precinct 7

 『干物妹!うまるちゃん』の第8話はクリスマス話数である。
 タイヘイに気長に惚れている叶はクリスマスに予定がなく荒れる。イブに叶は遊びに行かないかとタイヘイに誘われる。彼女は行きたくてたまらない。しかし誘いを断ってしまう。社長令嬢のセレブである自分がクリスマスに予定がない。これを知られたくないのである。知られてしまったらタイヘイを魅了するはずの自分のセレブ性が剥落する。
 恋するために恋ができない恋愛の限界状況である。

 刑事アンディ・ホイは頭を撃たれ、2年に及ぶ昏睡から覚めると、霊感体質になっている。ついでに看護師とデキる。アンディの霊感は彼に霊を見せるだけではなく人の死期も悟らせてしまう。恋人の看護師を見れば死相が出ている。丁度、看護師連続殺人事件が世間を騒がしている。これは何としても犯人を...という話である。
 それで、無事犯人は確保されるのだが、女の死相は消えない。アンディは不安におののきつつ女と街を歩いていると、頭上からコンテナが落ちてきて彼女を押しつぶす。
 小学生の作文である。しかし、このシュールに対するアンディの反応が物語設計の強引な印象を緩和する。彼はどう見ても即死の女に声をかけ、引きずり出そうと試みつつ、救急車を呼ぼうとする。女の強引な顛末よりも、それに際したアンディの反応の生々しさに映画の達成が賭けられている。一瞬、そう思わされてしまうのだが、これが予断の醸成なのだ。
 作中でフォローはあるものの、アンディの霊視体質は死相を認識できればいいのであって、霊の見える属性は物語設計にあっては副次的な役割しか果たさない。しかし、この属性が恋人の死によって回収される。
 コンテナに潰された女は直ちに幽霊としてアンディの前に現れる。アンディは拳銃を取出し自決しようとする。彼を死の衝動に走らせるのは女と直に接触を続けたい欲望である。自分も死ねば女を触ることができる。
 ところが、これもまたひどいのだが、自決せんとするアンディの耳に「ひったくり」という悲鳴が届く。死ぬか追うか。アンディは選択を迫られる。
 女はアンディに懇願する。自決せず犯人を追えと。さもなければアンディに対する好意は減じてしまう。女は犯人を追うアンディの甲斐性に惚れたのである。逡巡の末、アンディは泣く泣く犯人を追うのであった。
 監督・脚本は『八仙飯店之人肉饅頭』のハーマン・ヤウ。さすがである。