自室で核実験をやる話

 昨夜、夢の中で自分は小型原爆の核実験を自室で行った。この手の夢は一度見たことがある。夢の中の自分も二度目の実験だと自覚している。
 タイマーをセットして自室から出来るだけ遠ざかろうとする間、自分は堪えられない緊張感を覚え、その手の犯罪者の心理を追体験したのだが、とうぜん結果は悲酸であり、もう夢の中で原爆を爆発させまいと誓うのだった。自分はこれが夢であることも自覚しているのである。
 ところが見覚めてみてよくわからなくなる。
 これは二度目の夢である。自分はそれを夢の中で思い出したのであって、一度見たことはそれまで忘れていた。最初の核実験はおそらく覚醒の後に速やかに忘却されたか、あるいは起床時にはすでに忘れ去られていた可能性もある。記憶が夢の中にしかないのである。
 本当のところ、自分は一度目の実験をおこなっていたのだろうか。一度目の核実験は二度目の夢が作りした設定であり、自分は実際には一度目の夢を見ていない。その記憶は今回の夢が設定した仮構ではないか。
 夢日記でもつけていればこの混乱は避けられたかもしれない。今となっては判別の仕様がない。