フレンチアフリカ - アドバンスド大戦略

 欧州征服の後にフレンチアフリカに到達して完勝してしまうと、ナチス世界征服架空エンドになる。今回はこれを目指して百年戦争繰り広げ、架空戦記軍隊を育成してきたのである。
 フレンチアフリカで完勝するには、シチリアからイギリス島へ直接渡洋して生産首都を奪取する野蛮な方法が常套である。しかし今回は百年戦争をやって到達したのがかえって仇となった。ジェットでも渡洋できないこともなかろうが、航続距離が心許く怖すぎる。そこでチュニスに上陸して陸路を西進してアルジェに達し、対岸からイギリス島を襲う地味な方法をとることにした。架空戦記部隊だから陸路でも難なく完勝できるだろうと考えたのである。ところが困ったことになった。
 とりあえず具体的な攻略の手順から。

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 最初にジェット軍団を二分割してチュニストリポリにそれぞれ差し向ける。トリポリは放置してもさしたる脅威にはならないだろう。しかしここを予め落さないと陸路コースでは間違いなく補給(軍事費)が底をつく。といってもトリポリに上陸作戦を行う時間的余裕はないから、空挺部隊を渡洋させて航空支援と艦砲射撃だけで落とす。これはうまくいった。
 残りのジェットはチュニス上陸の支援をおこなう。上陸は容易いが西進して立ちはだかるのが難物マスタングである。
 完勝コースだとマスタングと戦うのはフレンチアフリカが最初で最後であり、わたしの架空戦記軍団は初めてこれと見えることになった。いくらマスタングといえども経験値最大のジェットには手も足も出まい。初戦でわたしのそのほくそ笑みは脆くも崩れた。硬い。むちゃくちゃ硬い。運が悪いと撃ち負けてしまう。結果、ラバウルのような消耗戦となり、トリポリを確保しても焼け石に水となった。イギリス島沿岸に到達する頃には弾が尽きリセットとなった。
 このクソ硬いマスタングをどうするか。これがフレンチアフリカのテーマである。ウラルでは砲兵の迅速な南進と展開が鍵であった。フレンチアフリカでは対空砲火をいかにはやくチュニスに上陸させるか、これが答えとなる。マスタングを排除するには対空砲火以外に手だてがない。戦車を真っ先に上陸させるのはもっての外である。敵の地上ユニットの侵攻は航空支援で何とでも妨害できる。AAを真っ先に陸揚げせねばならぬのだ。
 対空砲火の支援があると弾切れにせずにイギリス島沿岸に到達できた。それどころか余裕すらあり、イギリス島の生産首都を歩兵で確保する必要がなくなっていたため、今回は爆撃で落とした。
 イギリス島でもアメリカ島でも島を覆いつくしたユニットに最初は絶望するのだが、見かけほどには島の攻略はむつかしくない。艦砲射撃と航空支援でドリルの如く道を削り空け空挺部隊を押し込めてしまえば、詰まり過ぎで相手は身動きが取れず、反撃がやってこないのである。

 イギリス島の次はアメリカ島だ。残りターン数を鑑みるに、アメリカ島も同様の方法でターン内に落とせると見込みはついていた。しかしこれまでの戦いで散々マスタングの硬さに手を焼かされ完全に頭に血が上っていたわたしはウヌレアメ公モードになっていた。これで最後ということもあり、アメリカ島には原爆を投下した。
 敵の生産首都に原爆を落とすのは今回が初めてであった。アメリカ島が焼け野原になるやエンディングに突入でリリー・マルレーンという異常愛博士のような終わり方を想像して鼻腔を膨らませながら原爆を投下したのである。ところが意外な事態となった。島は灰燼に帰したのだが、生産首都はギリギリの耐久度で残存している。

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 わたしは困惑するともに腑に落ちてしまったのだった。
 実は過去に一度、原爆を使ったことがある。モスクワ4pzであまりのパルチザンのウザさにウヌレ露助と頭に血を上らせたわたしはパルチザンの森を原爆で焼いたのである。パルチザンの森は一度爆撃すれば、以降、パルチザンは湧かないはずだ。ところが何発原爆を落としてもパルチザンは湧き上がる。
 この謎が今回解けてしまった。原爆だけでは生産首都を破壊できないルールだったのだ。歩兵で占拠するか通常爆撃でとどめを刺すかせねばならない。そこでアメリカ島に空挺部隊を差し向けたところで占拠は事実上、不可能と悟った。焼け野原は降下不可である。歩兵を上陸させて生産首都に向かわせたとしても焼け野原は一コマしか進めず時間切れになってしまう。原爆を使っても生産首都は残存ししかも占拠は不能になる設定だったのである。原爆がバランスブレイカーにならぬよう配慮はされていたのだ。

 アドバンスド大戦略(MD)は魔性のゲームである。殺戮の限りを尽くして虚しさに至るどころか、この箱庭のようなどこにもない世界は何度でも何度でも破壊したくなる。リリー・マルレーンを聴きながらわたしは飽くことなく破壊衝動に取り付かれていた。今度は天候ルールありで史実通りに進めて、最終ドイツマップでズタボロにされることにしよう。