2008-05-02から1日間の記事一覧

谷崎潤一郎 『春琴抄』 [1933]

盲目の彼女を戸口まで曳いて行って、手水の水を掛ける件だが、うっかりして、ひとりで行かせると大変になる。「済まんことでござりました」と男は声を震わせる一方、女は「もうええ」と首を振るのである。 しかしこういう場合「もうええ」といわれても「そう…