仮文芸

現代邦画とSFの感想

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ドクター・スリープ』Doctor Sleep(2019)

成人したダニーはユアン・マクレガーとなり、依存症で生活を荒廃させる。これはタイプキャストの笑いであるが、実際にやることは一般文芸に近い。ホスピスには死臭を嗅ぎつける猫がいる。夜な夜な猫は臨終を迎えた老人の足元に上がり、フフンと死にざまを観…

頓挫した農村の近代化:プロイセン国家の場合

プロイセン国家において農村を封建的な隷属関係から解放したのは行政改革であり革命ではなかった。ナポレオンに莫大な分担金を強いられたプロイセン国家は、その支出に耐えられるような経済的に自由な体制を育てるべく、変革を決行した。が、あくまで行政主…

『秘密の森の、その向こう』 Petite maman(2021)

八歳の少女は過去に戻り同い年の母と親友になる。少女は相手が子ども時代の母だと知る。母は相手を将来産むことになると知る。少女が現代に戻ると、大人になったあの少女が暗い部屋に座っている。これは恐怖映画の叙法である。母が亡霊のように見えてしまう…

『愛がなんだ』(2019)

針ムシロのようなパーティーから退散する成田凌。帰宅するなり岸井ゆきのが欲しくなり行為を試みるが勃たない。パーティーでは陽キャラたちの輪に入れず孤立し、意中の女にも相手にされなかった。何よりもその無様を岸井にずっと観察されていた。男の自信を…