2007-01-01から1年間の記事一覧

テレビ『バトルアスリーテス大運動会』

神崎あかりの堂に入ったヘタレ振りにわれわれが移入できるのはよいとしても、後々、彼女の才能が発覚すると、その効果は無効になりかねないし、あかりを保護する一乃の万能感にも依存できなくなる。むろん、性愛の様相を呈する彼女らの友情をムフフと中年親…

桜庭一樹 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 [2004]

加圧しないと作動しない女性の友情に事件を利用するのは方法論的に正しい。また、兄貴の引きこもりにしたって、立ち直って自衛隊では余りにも中学の道徳教材すぎから、プロット自体は仕方ないにしても、その過程で高慢な兄貴が可憐な萌え少年に変貌して受け…

無題

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1241257

別れたるメイドさんに送る手紙 (3)

4 まるで地獄の底から舞い降りたような美しき不徳のメイドよ。恋慕に狂い我が身を焼くのはもはや莫迦らしくなった。否、我が身はすでに焼き尽くされ灰燼に還ったかも知れない。お前のことなど早く忘れてしまえばよかったのだ。 それにしても我がメイドよ――未…

別れたるメイドさんに送る手紙 (2)

3 酒の席で高岡と隣になった自分は、これはまた厄介な奴と一緒になってしまった、また変な因縁でもつけられたら面倒だ、今夜はもう切り上げよう、と思い早々と席を立とうとしたのだが、彼の高らかな笑いは、まんまと自分を呼びとどめるほどに下劣なのであっ…

別れたるメイドさんに送る手紙 (1)

1生来、怠け者であった自分は、家計がよほど窮迫せねば売文に身を費やすこともなかった。たまにまとまった金が入っても銀座の高級メイドカフェに入り浸る始末であったから、専属メイドの雪が自分に愛想を尽かすのは当然だと思うし、その事で雪を恨んだりはし…

谷崎潤一郎 『細雪』 [1942-48]

見合い相手のインフレーションというべきか、婚期を逃し売れ残りの危機が高まるほどに、かえって好ましい男性が現れるのである。加えて不可解なことに、せっかく俺様のような好人物が到来したというのに、雪子の稚拙な対応で肝心な話はまとまらない。「俺様…

萌え絵の練習

古橋秀之 『おおきくなあれ』 [2005]

時間の遡行を可逆的に扱うと、経験の希少性の実感が薄くなって感傷を煽りづらくなるのでは、と考えてしまう。ただいったん遡行が始まり、ワラワラと典型的なトラウマが発見されてくると、可逆性という軽さが何らかの付加価値に寄与することで、古典的なトラ…

メモ

物語の展開にとって生産的な状況とは人物の行動を描画することにある。つまり人の運動が依拠できるような計画や目的が必要である。したがって語り手は、人が計画を迫られるきっかけを考えねばならない。たとえば、彼は何かに遭遇し巻き込まれる必要がある。 …

AAのテスト

日経平均 取引値 14:07 15,652.49 前日比 -444.19 (-2.76%) /´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ / \ /::::: \ _______ + /::::::::: ヽ |i:¨ ̄ ,、  ̄¨.: i |::::::::::: | |i: /ヘ:\ :i| _ |::.:. : : ,,ノ:..:ヾ、 | .|i:〈`_、/´_`>.、 :i| ,.r:;'三ヽ:: :: .…

メモ

AIは物語のテクストを問題解決の経過報告書として捉えたがる (Ryan[1991=2006])。 まず動作主には意図があり、目標はいくつかの副次的目標へと解体される。発話などの行動の継起はその目標に達すべく実施され調整された計画の過程で産まれる。 ナラトロジー…

School Days

罹災した狂気はむしろ利用してやらねばならぬ。バーサーカーに出来ないことはない。言葉の格好良さとはそうした前向きな狡猾さにあって、殊に世界を淡々と始末する所作になると、彼女の自失感は職人の明晰な理性と区別がつかなくなる。もっとも、自覚的に利…

藤沢周平 『蝉しぐれ』 ('88)

教養小説には終わりがある。つまり人の成長には限度がある。だから高度成長が終わった段階で、そのフォーマットは何らかの変容を被らねばならないだろう。成長を描画することの歓楽がもはや利用できないのだ。 この点、藤沢は教養小説を政治スリラーにつなげ…

オースン・スコット・カード 『無伴奏ソナタ』 Unaccompanied Sonata [1979]

定常した社会のありさまについて、ふたつの見解があって、この仕組みが今日まで生き残ったのは何らかの有効性があったためであり、したがって意味を見出したい、という考えもあれば、それは束縛であり現状の肯定に過ぎない、というのもある。 クリスの幼少教…

School Days

伊藤誠という青年は不思議な人で、次々と娘を猛り狂わせゆくその凶悪な色魔の性質について、特に理由が付されたりはしない。 いや、これはもともとエロゲであるから、愛に理由はないのである、というのであれば、まだ理解はできるし不可思議だという程のこと…

グレッグ・イーガン 『ひとりっ子』  Singleton [2002]

われわれがエロゲーの分岐に戸惑うのは、パラレルにお話を把握することができないからだ*1。たとえば、自閉気味の天才少女をたらし込んだ人生と、パン屋の娘をたらし込んだ人生が、何のいい訳もなく陳列されるのだが、リニアにしか物事を捉えられないわれわ…

コリン・ウィルソン 『賢者の石』 The Philosopher's Stone [1969]

この胡散臭いユーモアは『非Aの世界』('45)と似ていて、どちらの内語も莫迦みたいに超人化する自分をフォローしてゆくのであるが、例のごとく、われわれには、われわれの能力を超えたものを語ることができないので、そのすげえ感じがよく解らない。したがっ…

風林火山 第28回 亀治郎の顔芸

作った。

バリントン・J・ベイリー 『時間衝突』 Collision with Chronos [1973]

『禅銃』('83)が海洋型のオリエンタリズムだとすれば、『時間衝突』は大陸型のそれだ。封建社会で武装民に事欠かない前者にあって物語が問題とするのは、行使の規整にかかわる倫理であるし、対して、基本的に文治主義を指向する大陸型の後者は、非常時に際し…

風林火山 第26回

あの愛くるしいお屋形様が、暗黒面に墜ちてしまわれた。 亀治郎がやりすぎる程に、つまり情緒の表出が過大になるほどに、かえって情報は水準化しステロ化して内面は見えなくなる。ただ他方で、いったんは閉鎖された内面は、板垣や甘利によってしつこく注釈さ…

綾瀬は俺の嫁である 『美鳥の日々』

人格に成長の感覚を施与したければ、彼女の視野を封鎖してやるのも一つの手であり、閉ざされた内面が彼女に強さを充填するはずだ。しかしながら、いきなり内面を閉鎖したとしても、その軽々しさが、前に触れたとおり、内面戦略にたいする信憑性を失わせかね…

スコット・フィッツジェラルド 『グレート・ギャッビー』 The Great Gatsby [1925] & トニー・スコット 『スパイ・ゲーム』  Spy Game [2001]

恋愛のために莫大な投資が行われると、やがて破局するプロジェクトの不幸をうまく把握できない恐れが生じる。投資活動のために購われた、長年にわたる忍耐と労力の蓄積が、不幸に対する耐性を醸造しかねないのである。結果、膨大な投資にもかかわらず恋愛が…

宮崎あおい、高岡蒼甫と電撃入籍 7年越しの恋実る (SANSPO.COM)

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『華麗なる一族』 ('74) の位階秩序

西村晃はどぶ板感覚一本で副頭取に登り上がった人だが、都銀の頭取にもなるとある程度の知性もほしくなるし、だからこそ、佐分利信でなくてはならない。そして、知性がさらに高じると、田宮二郎から平田昭彦へ至る眼鏡軍団・大蔵官僚の途が見えてくるし、そ…

効果の疑わしいBMDにも出番はあるかも(米国限定)

Lieber K A. & Press D G., 2006, The Rise of U.S. Nuclear Primacy 現状、ロシアの早期警戒網はボロボロなので、米国の第一撃が着弾する前に彼らが報復できるか疑わしい。ロシア側としては、先制攻撃をかろうじて免れた残り物で反撃せざるを得ないが、その…

高河ゆん 『LOVELESS』

信用できない内語の活用では、こちらの方がうまくいってるのではないか。草灯ってば、情報量最強の割にダラダラと内語を開放したりして、物語の享受に混乱が生じるのだが、かかる信用のなさが、大人の信用できない cool 感に接木できたように思う。感情移入…

アルフレッド・E・ヴァン・ヴォークト 『非Aの世界』 The World of Null-A [1945]

記憶の継続性に欠けることが明らかにされると、今度は生体の継続性がなくなる。物語を運用する見地からいえば、情報の逐次投入が行われているわけだが、そこに内語の奇妙で唐突な分譲の問題を重ねてみると、感興を保持する技術に加えて、視覚や内語の経験を…

『風林火山』――相変わらず亀治郎の顔はえろい

閨で刃物を振るう柴本幸を、最近の亀治郎には珍しく、彼は過激な顔面操作で迎え撃つ。説得の内容そのものは「独りでいることをやめたら、かえって独りになってしまった……」とか何とか、恥ずかしい台詞禁止的な直截なものにすぎないが、これが一杯一杯の歌舞…

「田中と中田」 『サラリーマンNEO』

二つの非常識圏(中山祐一朗&南野陽子)が設置され、常識圏にある田口浩正は彼らに翻弄される。非常識圏は互いに対峙するものの、破綻は田口の奔走でかろうじて回避される。しかし、南野に向けられた中山と田口の密かな共犯関係が露わになると、非常識圏は…