仮文芸

現代邦画・SF・経済史

2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マーサ・ウェルズ『システム・クラッシュ: マーダーボット・ダイアリー』

フィクションに通じるだけでモテてしまうトゥルーロマンスのような邪念は、フィクションの効用を証明できなければ成立しないだろう。フィクションは何の役に立つのか。この問題意識は警備ユニットの中で形を変えながら幾度も持ち上がってくる。前の現場では…

『新幹線大爆破』(2025)

運転台に座るのんはストレッサーにさらされるモルモットのようだ。後半にはクールダウンするとはいえ、次々と降りかかる災厄に硬直する彼女の顔には、小動物に虐使を加えるようなただならぬセクシャリティがある。キャストのリアルライフを悪用した趣味の悪…

『ナミビアの砂漠』(2024)

壁向こうから聞こえてくる英語教材が神の声に聞こえる。華人系の彼女はダブルリミテッドのように言語的故郷と分節化の力を失い、引っ越しすらスリラーになる。自分の天然を特権化するモラルだけが、認知症のようなカオスにかろうじて操持をもたらしている。…

『ラストマイル』(2024)

愛郷心が製造業の奨励と結びつくのは洋の東西を問わない。Rural Rides(19世紀初頭のイギリス紀行)では商人が糾弾の的となる。農民や職人の成果物を左右するだけで利得する商人にウィリアム・コベットは反ユダヤ主義を爆発させる。 ラストマイルにおいて”ユ…

『Cloud クラウド』(2024)

荒川良々が発砲すると、器物が射手のスラックな精神に汚染されように、猟銃の銃身は悠長な間をおいて跳ね上がる。 ゼロ年代前半である。深夜のスタジオでアニメーターらの議論を側聞したことがあった。話題は邦画のプロップガンが玩具に見える原因であり、マ…