仮文芸

現代邦画とSFの感想

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

打算と無意識

強欲な南原宏治はマンション価格を吊り上げてくる。地上げ屋の三国連太郎は一計を案じ、懇意にしているホステス柴田美保子に金を掴ませ、美人局を持ちかける。三國の手下が同衾の現場を抑える手筈である。 この一連の場面では柴田美保子が不思議な行動に出る…

日本における局地市場圏の実際

都市経営シミュのような荒蕪地に人を放り込むとする。西部の開拓地を想定してもよい。生活の必要に応じて肉屋、パン屋、靴屋などが現れ、建築の需要が増えれば大工の棟梁やレンガ工もやって来て、町が開かれるだろう。人々を強制せずに自由に行動させれば、…

期待理論とリスク選好

二つの選択肢を仮定する。Aを選べば$40の利益が確定する。Bならば50%の確率で$100の利得。さもなければ利得はない。社会心理学の実験に基づけば、多くの人はAを選ぶ。期待値はBの方が高い($50)にもかかわらず。 いま一つの選択肢を仮定する。Aを選べば$40の…

『車夫遊侠伝 喧嘩辰』(1964)

発端は情報不全の三角関係であった。内田良平は桜町弘子に一目ぼれする。桜町は曾我廼家明蝶の情婦である。内田良平は彼らの愛人関係を知らない。この無知が最初は強みとなり、のちに悲恋の構造を拡大していく。 内田良平は曾我廼家明蝶の前で恋に悩乱する自…