2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

原民喜と琴浦さん

容態のおもわしくない妻は、もう長い間の病床生活の慣わしから、澄みきった世界のなかに呼吸づくことも身につているようだった。 『美しき死の岸に』 昔書いたことだが、原民喜の印象は最初はすこぶる悪かった。死に瀕する妻貞恵を美化する厚顔に怖気を震っ…

『アルキメデスの大戦』 (2019)

『帝一の國』(2017)の感化はあると思う。菅田将暉の登板がそもそも帝一を踏まえたものだろう。『帝一の國』には色々と感ずることがあったが、その永井聡演出はやはり一定の影響を各方面に与えたようである。 話は別にしても、美術を見てるだけで満足する類の…

劉慈欣 『三体』

イカ臭い。文体も話もイカ臭い。わたしも人のことは言えんが、しかし、つらい。 文革で人類不信になった天体物理学者がファーストコンタクトに成功して地球を売るのである。 彼女はエコなインテリを糾合。プロエイリアンのニューエイジ教団を結成するのであ…

『ヒミズ』(2012)

これもまた作者の本音を偽る類の話である。あの冒頭の、担任が住田を囃し立てる場面だが、「みんな特別、ひとつだけの花、すみだがんばれ」云々とつらい。これは古谷実ではなく園子温の台詞だろう(原作未読)。いずれにしても、作者の本音だとは思われない…