2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

当事者性と感情の信憑性は代替する 原民喜『夏の花・心願の国』 関千枝子『広島第二県女二年西組』

人の死に様を観察する美文が苦手である。大岡昇平を読むと、戦争をオカズにして自慰にふけるように見えてしまう。当事者に美文をしたためる余裕があるとは思えず、話が作り物に見える。 『夏の花・心願の国』は前半が妻の看病記になっていて、原民喜は詩人だ…

秒速人間宣言 『秒速5センチメートル』

明里を無意識の偽善者と解すべきなのか。「桜花抄」の明里は「タカキ君なら大丈夫」と別れ際に請け負う。ところが、「秒速5センチメートル」ではこれが根拠のない安請負だったことが明らかになる。てめえのせいでタカキ君はおかしくなってしまったのだ。 「…