2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マイクル・フリン 『異星人の郷』

中世人と異星人のコンタクト物である。地球にやって来た異星人の方がとうぜん技術的に進んでいるから、これは現代人である読者が異星人に自分を仮託して文明のオナニーをやる話かと思いたくなる。ところが趣が少し違うのだ。主人公である中世欧州人の神父は…

『殺人の告白』

映画『砂の器』が無意識であれ目指したのは、原作に充満する松本清張の怨念を封印することであった。それは、コロンボのようなセレブリティへの怨念であり、かつ相貌のよい若者への怨念である。 『殺人の告白』では、怨念の提起と封印が同一作品の中で行われ…

『ボーダーライン』

ゴルゴ13に少年が出会うひとつの類型がある。少年が偶然にゴルゴの仕事を目撃してしまう。第482話の「ストレンジャー」は前に言及した。好きな話だ。ゴルゴの仕事ぶりに感化された文弱少年が生きる勇気を取り戻すのである。対して、本作のエミリー・ブラント…