2011-01-01から1年間の記事一覧
『マルサ2』の猿渡先生(小松方正)の供述シーンは、後にセルフオマージュとして『マルタイ』で復活している。先回触れた、名古屋章が自供を引き出す件である。 時事ネタのくびきから逃れ得たのか、という点で『2』を振り返ると、恋愛劇でこの20年を生き延び…
天然であるがゆえに女は男の造形に好意的な解釈を与え得た、ということはある。意識があれば目は曇るし、たとえ発見できたとしても、変に照れて当人に発見の事実を伝えることができなくなる。宮本信子が山崎努の造形を発見するビアホールの場面で考えてみよ…
時には観客におもねるのも考え物で、キャラを感情移入の物乞いにしてしまうと、かえって観客の好意を損ないかねません。ここでの松たか子でいえば、ファミレスを後にした路上で行う涕泣がそれに当たるでしょう。奇行の自覚をアピールし、観客との目線の共有…
古泉一樹が嘆くように、愛の属性主義には自分がしてやったという実感が往々にして伴われません。その愛は、わたしのあずかり知らぬ所与の属性によって成立した。ホ・ジノの世界観においては、女は童貞という属性に惚れたのであって、愛の属人性は否定されて…
『アウトレイジ』の冒頭にはテクニカルな問題があるとこれまで考えてきました。冒頭と次カットのつなぎにどうも違和感が拭えないのです。 最初のショットは現場の強面なおやぢ達のミディアムをドリーでゆっくりと収めます。望遠でしかもハイスピード撮影です…