2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ウンベルト・エーコ 『フーコーの振り子』

陰謀説を肯定する態度は揶揄の対象になる。かといって、陰謀論者を揶揄して蒙を啓くだけでは一般文芸の水準を満たせない。陰謀に揶揄以外の態度を示しても啓蒙が損なわれない、あるいはかえって啓蒙に至ってしまう事態を案出せねばならない。 カゾボンはミラ…

『男はつらいよ 望郷篇』

『ちはやふる結び』で叫び声を上げた場面があった。千早が新に告られる。千早が好きで好きでたまらない太一はそれを知って突如退部。太一の気持ちを全く察しない千早は退部の理由がわからず、なぜやめるのかと線路脇で太一を問い詰める。わたしは激昂した。…

上方落語『浮世床』

『トンデモ本の世界』で村上龍一の語呂本が批評されたことがあった。後に村上から自著を献本された山本弘は献辞の内容から村上がどうやら確信犯らしいと察する。しかし、どうやらも何も、村上の語呂本は誰が見てもふざけている代物であって、むしろ村上を本…

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

体育会系を媒体にして文系賛歌の調べを奏するのは常套としても、クリストファー・マッカリーの文系世界ともなると、その媒介の意匠に捻りが出てくる。 アステアのミュージカルのように文系に身をやつす体育会系が爆発するだけでは、『ユージュアル・サスペク…