失意のボケ足の向こうに 『ハッピーフライト』

『(500)日のサマー』に比べると、『ハッピーフライト』の智子の恋愛は穏健に報われている。サマーのラストには、トムの価値観が試されるだけあって、オータムの返答如何に切実さがある。



智子のぐぬぬ顔がよかった。待ち合わせに出向いたら男が不在で、失意の彼女は『インビクタス』のモーガン級に素晴らしい顔芸をやる。これにしばらく見とれてると、ボケ足の向こうから意中の男がやって来る。ガス・ヴァン・サント風ではある。男がボケ足を出る前に編集点が来るから、彼の匿名性は担保される。アレは俺だと妄想できる余地が憎い。