2008-04-05から1日間の記事一覧

島崎藤村 『ある女の生涯』 [1921]

狂気を知覚できない狂人の叙述には遠近感がないので、文芸的な愛顧を求める競合へ乗り出すには、狂気に空間的な指向性を与えるべきだ。つまり、狂人は移動せねばならぬ。そこで伴う病の昂進は物語に機能性をもたらすだろうし、人格に対する憎悪と反感に及ん…