2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『零戦燃ゆ』(1984)

60年代の戦記映画を知る者にとっては、冒頭からすでに隔世の感がある。搭乗前には機体の視認がなされ、几帳面にチェックリストの手順を踏んでエンジンが始動する。原作の理系指向もあるが、20年前の戦記映画には望むべくもない解像度である。 しかし、加山雄…

実体のないヒロイン

『春の雪』と『奔馬』にはヒロインに実体がある。春の雪は聡子の機知と勇気を具体化するエピソードを冒頭に置いている。宮崎アニメ的構成といっていい。 『暁の寺』はこれをやらない。女の内面がわからないからこそ聖化できる機制が活用されている。知ってし…

『鍵泥棒のメソッド』(2012)

結婚観のブレが筋の構造を軋ませている。恋愛を特権視するのか。家庭を法人視して恋愛の有無に重きを置かないのか。 広末は恋愛主義者に見える。他方で姉の小山田サユリは結婚生活を破綻させつつある。彼女の存在は広末の結婚観を留保する。恋愛を経た結婚か…

名寄防御シナリオ『Command: Modern Operations』

www.youtube.com 名寄の地形は、戦闘の様相もスケールも違うのだけど、田原坂を連想させる。丘に挟まれた狭隘を抜けないと熊本平野へ入れない。その丘の一つが田原坂台地である。田原坂の戦いとは丘をめぐる戦闘なのだ。 名寄の地形も同様で名寄市内の手前が…

ジャスパー・フォード『雪降る夏空にきみと眠る』

昨シーズンのビジネス英語にタカシがシンガポールに出張する件がある。現地法人にはルーシィなる上司がいて、タカシは一時的にルーシィの下で働く。久しぶりに本社の上司ルヴィアの所に顔を出したタカシは、ウフフと彼女にからかわれる。 「あの女がどんな仕…