オリンピック雑感

 野球を最初から最後までまともに見たのは四半世紀ぶりじゃないか。この間、事実として打撃と投球のフォームが変わっているのだが、わたしの方も昔に比べれば物の見方が多少は細かくなっている。フォームが異なって見えるのは、挙措の詳細が見えるようになったためか、それとも……と認知のフワフワが最初に感ぜられて愉快だった。
 サッカーも本当に久しぶりに見た。どちらにせよ面白くないわけがないのだが、野球の方が好みかなあ。昨今、スポーツはお相撲くらいしか見れてない。野球は、受け手に緊張を強いる手口がお相撲と似ているのだ。両者とも緊張のピークが予見されている。球が放たれる瞬間であり、立ち合いが成立する瞬間である。予見されたその瞬間に向かって盛り上がっていくお相撲や野球に比べれば、サッカーはよりアクシデンタルである。緊張の瞬間は予見されておらず、いつ何時、それが訪れるか明瞭ではない。いいかえれば、絶えず緊張に晒されるわけで、それがよいところなのだが、俺はお相撲・やきう型の方が好みだなあ、と思った次第。