2008-01-01から1年間の記事一覧

藤枝静男 『田紳有楽』 [1976]

物理的な査定の寛大さが仇になるのか、視点の操作や情報差のゲームが雑然としていて有効に活用されないし、想像力の地理的な版図も、叙述の詩学を弄するような刹那的な粉飾に解されがちだ。したがって物語の技術的なこだわりは、情報の差を万能感へ導く戦略…

日経平均株価(17日、前引、円) 11,726.99 ▼ −514.61 (−4.204%) / ̄ ̄\ .ノ \,_. .\ (>)(< ) | / ̄(__人__) | / _ノ .ヾ⌒ ´ | / o゚⌒ { 市況2 / | (__人\ .カ \市況1 ` ⌒´ン .ノノ ギュッ /  ̄ ./ . .. し} .(⌒二_?ニ⌒) .i

大戦略VのMLRS運用

大戦略VのAHはAAGやMANPADSにある程度の抗甚性があるので、高射特科の支援があるとしても、AHの襲撃が予想されるとこちらの地上部隊を迂闊に動かせなくなる。AHを排除するには空軍の支援が必要だ。逆に、こちらがAAGやMANPADSの想定下でAHを使う場合、いくら…

日経平均株価(13日、13:39、円) 12,465.22 ▼ −395.91 (−3.078%) :∧_∧: :(;゙゚'ω゚'): ピクピク :/ つとl: :しー-J :

10年ぶりに大戦略Vを引っぱり出す

押入から大戦略Vを引っぱり出した。XPでも一応動いた。 今回の目的は、諸中隊をCT単位に振り分けて運用すること。特に、CTごとに専属の輸送中隊を作り、所属のCT以外になるべく補給を行わせないようにする。編成については前に述べた。戦車大隊を基幹として…

ARIA The ORIGINATION #05

灯里の「恥ずかしい台詞」が藍華によって応酬されないとなると、あの不自然な舞台演技は行き場を失い、物語の規則性を汚染するおそれがある*1。殊に、この話数の恥ずかしい台詞は冗長でわざとらしく、それだけにぞんざいな扱いが違和感を残すように感ぜられ…

ケン・フォレット 『大聖堂』 The Pillars of the Earth [1996]

プロジェクトの規模が拡大し安定するとプロットの収穫逓減が始まる。危機に対する感受性が薄くなり、成長のよろこびとスリラーが損なわれてしまう*1。また、物語がゼロ和として設定されると、プロジェクトの安定はそれまで拮抗してきたantagonistsの凋落を意…

Can the War on Terror Be Won ?

Gordon, Philip H., 2007, Can the War on Terror Be Won? How to Fight the Right War Foreign Affairsより。以下、要約。 テロとの戦いは新しいタイプの戦争である。テロリストをいくら捕殺しても終わらない。むしろ、そのイデオロギーが無効化されたとき…

やりすぎた純文学はハードなSFと区別がつかない

作家は自分で自分を腑分けして、その臓器の一々に解説を加えるものだと漱石はいうが、では実際に狂いつつある自分を叙述できるかというと、白痴の内心を解析する困難がやはり思い出される。つまり叙述できる狂気は狂気ではない。叙述された狂気はどことなく…

無題

日経平均 12,573.05 ▼ −752.89 (−5.65%) 、-─‐- 、 __ /::::: \ l / ー┼‐″ ヽ , /::::::: ○ ○゙i, ノ ノ 」 ヽ  ̄ ̄ _ノ !:::::::: \___∠_|_____________ . ゙i;:::::::: \,(∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴ ウワァァン! ヽ;:::::: \∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴ l . ヽ、;;_…

情報開示の効果とプロットの損益計算――『大奥』

あらかじめポジティブな顛末を開示しているプロットがそこに至る過程で悲劇を煽ると、スリラーの効果を損ないかねない。たとえば『13デイズ』('00)で海上封鎖に至っても、キューバ危機の結果は自明なのでスリラーの緩和は否めない。本作にしても、吉宗の代ま…

無題

日経平均 13,504.51 ▼ −468.12 (−3.35%) ___ /⌒ ⌒\ ━━┓┃┃ /(  ̄) (_)\ ┃ ━━━━━━━━ /::::::⌒(__人__)⌒:::: \ ┃ ┃┃┃ | ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚ ┛ \ 。≧ 三 ==- -ァ, ≧=- 。 イレ,、 >三 。゚ ・ ゚ ≦`Vヾ ヾ ≧ 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・

ARIA The ORIGINATION

恥ずかしい台詞がやりすぎて、でっかい人生の話に飛躍すると、たかがバスガイドぢゃねえかwww、と興醒めに陥るリスクがある。でっかい人生の当事者にはそもそも恥ずかしい台詞をひねる時間的な担保がない。だからシナリオの課題には、ウンディーネに要求され…

The Wayward Cloud (3)

3. 癲狂院の春 丘の中腹から見下ろす練馬大根の畑は、日にあたる黒猫の淫靡な照り返しのように、陽炎の中を穏やかに揺れていた。樫の木陰に集い、全てを諦め、柔和に笑う影絵のような人びとは互いに無関心で、ただ新鮮な大気と草の香りを物憂げに享受してい…

The Wayward Cloud (2)

2. マトリョーシカ人形 朝の斜光を浴びた冬枯れの往路は薄い水彩画のように褪色していた。消失点へ伸び行くアスファルトの起伏に女体のなだらかな線を感じた私は陶然として目を細めた。日に照らされた緑の街灯も私につかの間の安息を与えたようだったが、好…

The Wayward Cloud (1)

1. 姉と海へ行く 京葉線から望む矮小な海は、高気圧の庇護に気をよくしたのか、化学プラントの配管の向こうから輝度のある反射光を放ち、人びとの網膜を徒に挑発した。漆黒の波が寄せ帰る、カスパールの遣りすぎた宗教画のような曇天の海を望んだ私には当て…

間瀬元朗 『イキガミ』

政治のハイブリッドは、たとえ整合性に欠けるとしても、物語の強度を損なわない限り認められてよい。 たとえば『犬狼伝説』の警察や軍隊関係者は、意地悪で大雑把な言い方をすれば、ナチっぽい格好をしている。ところが、ドイツに敗戦したとされる社会自体は…